ひょうたん

とう子の小説紹介 ひょうたん 時代小説

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とう子の小説紹介です。

ひょうたん

宇江佐真理 著
光文社

五間堀沿いの古道具屋『鳳来堂ほうらいどう』を営む音松とお鈴、一人息子の長五郎と、年中店に集まってくる音松の幼馴染たちとの日常の物語。
音松は芝居の定式幕じょうしきまく(エンジと緑と黒の縞柄)が大好きで、お鈴が嫌々ながら古い定式幕から拵えた半纏を年中着ている。
夕方になると集まってくるのは、お鈴が『ゴミ立て客』と呼ぶ三人。
・夜が商売の料理茶屋の店を抜け出してやってくる勘助
・酒徳利を抱えて酒屋を出てくる房吉
・過去に三度も女房を変えている駕籠かきの徳次
古道具屋に集まる物と人、そしてお鈴の手料理を中心に話は進む。

音松とお鈴のなれそめも語られる『織部おりべの茶碗』
音松が食い詰め浪人から四百文で買った茶碗はなんと、百五十両の代物だった。
高価な茶碗を手に入れて、まず考えたのは長五郎のことだった。長五郎の父として正々堂々としていたいという音松の心と、それを尊いと思うお鈴に胸のすく思いがする一編。

 目次
 ・織部の茶碗
 ・ひょうたん
 ・そぼろ助広
 ・びいどろ玉簪
 ・招き猫
 ・貧乏徳利

艶物以外の時代小説には珍しい(と私が思っているだけかもしれないが)下ネタもある。男達の話に嫌な顔をするお鈴だが、お鈴の夢の中には織部の金隠しがでてくる。金隠しが分からない世代はググってみてね。
お鈴の拵える季節の手料理に味覚も刺激され、読後はきちんとしたご飯が食べたくなります。

2024.9.25