夜鳴きめし屋

とう子の小説紹介 夜鳴きめし屋 時代小説

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夜鳴きめし屋

宇江佐真理 著
光文社

本所五間堀ほんじょごけんぼりにある居酒見世いざかみせ鳳来堂ほうらいどう』が舞台。
前作、『ひょうたん』から時は経ち、音松お鈴亡き後の息子長五郎の物語。
店主の長五郎は28歳、音松ゆずりの派手な半纏はんてんを着て見世を営む。
見世は暮れ六つ(午後6時頃)から朝方まで開けているため、いつしか、『夜鳴きめし屋』と呼ばれるようになった。
父の幼馴染の『ゴミ立て客』は勿論、芸妓の姐さん、深夜早朝に仕事する男たちの朝飯にと、見世はますまずの繁盛を続けている。
ある日、常連客の芸者、駒奴こまやっこから、紙問屋の隠居に身請けされて男児を産んだ芸者仲間のみさ吉が、隠居が亡くなりせがれとともに芸妓屋に戻ってきたと聞く。
10年前、飲んだくれの父親のいるみさ吉と、質屋の手代だった長五郎は、一夜を共にし、そしてみさ吉は隠居に身請けされていった。
落ち着かない思いを抱える長五郎の見世に、芸者を母に持つ2人の男児『長松』と『惣助』がやってきた。長五郎と音松の字を名に持つ長松の出現に、長五郎の心は揺れる。
みさ吉は長五郎との子を産んでいたのだろうか。
長松は自分の倅なのか。
この先、どうしていくべきか。
鳳来堂は、季節の料理と訪れる客によって細々と繁盛し、長五郎の悩みとともに暖簾のれんがあがる。

2024.10.2